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第10話 菅原が残した負の遺産

             

冒頭から進学塾Axelの創業者をディスってしまったが, この制度を考案したのは何を隠そう菅原である。えっ?なんの制度かって?いやいや, モーニングアクセルに決まってるでしょ。

さて, ご存知ない方に説明しておくと, モーニングアクセルとは定期テスト当日, 朝6時に塾を開け, 生徒を自習させ, 最後は「行ってらっしゃい」と笑顔で送り出す進学塾Axelの恒例行事である。生徒からの人気はかなり根強く, 朝6時からと言っているのに, 5時に来る者もいれば, 中にはまだ太陽が昇っていない朝4時に家を抜け出し, 僕や保護者様からカンカンに怒られた猛者もいるぐらいだ。つくづく中学生のやる気と女心は秋の空である。

だがそんな生徒からの人気とは裏腹にこのモーニングアクセル, 講師たちからの評判はなかなかに悪い。理由は単純明快, 眠いからだ。

ご存知の方も多いと思うが, 塾講師の生活は基本半夜型だ。朝方4時頃に寝て, 11時過ぎに起きればいい方で, 朝5時まで粘って, 起きるのが昼過ぎなんてこともザラにある。そんな僕らにとって朝6時に出勤するのはなかなかに酷な話だ。朝日に目がつぶれそうな中, 出迎えた頃に夢見心地になり, 送り出す頃にはもはやここがどこかわからないぐらい疲労困憊になる。

また辛いのはこれだけではなく, テストが二日間続いた時は悲惨極まりない。まず1日目に生徒は給食なしで学校が終わる。そうなると生徒が塾に来るのは13時過ぎになるため, 僕らは朝8時に送り出し, かつ13時にはもう一度塾に来なければならない。そしてそのまま10時間, 夜22時まで生徒の勉強に付き合い, また次の日, テスト2日目モーニングアクセルに来なければならない。もちろんその日の夜, 通常授業が待っているのは言うまでもない。

さらにはさらにはこのイベント, 出勤時間が朝6時から朝8時までなので, 高校生を使うわけにはいかない。大学生も学校があった場合, 来ることができないので, 僕が即座に犠牲になるのは, 目に見えている。菅原と一緒に働いていた頃こそ交代で担当できたが, 今ではそうもいかない。自分本位で考えれば, なかなかに迷惑極まりないイベントである。

実際, こんなイベントは即座に廃止しよう, と何度も試みた。しかし中学生の多くはテスト当日の焦りもあってか, 一向に賛成しくれない。また幸か不幸かわからないが以前, モーニングアクセルでやった過去問がそっくりそのままテストに出題された奇跡も重なり, そのせいか今では廃止論が廃止されそうである。

いやいや, まってくれ。今, 頑張ってる気持ちは講師としては嬉しいよ。でもできれば, もっと前からやってくれ。今のやる気を2ヶ月前から見せてくれたらどんなに嬉しいことか。

そんな葛藤を抑えつつ, 今日も行ってらっしゃい, と笑顔で生徒を送り出した僕。この地道な努力が実を結んで, いつか億り人になれたらいいな, と思う今日この頃である。

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